記憶障害も改善に向かう中、いまだに完全な回復が見られないこともあり、「記憶障害の本当の原因」に迫ろうとするミヤビです。
第9話では、前話で中心になった、綾野と麻衣の今後や綾野病院の行方も明らかになります。
また、三瓶に確かめたくてウズウズしていた「婚約の事実」をミヤビが三瓶に直接聞けたかどうかにも注目です。
視れば視るほど、「アンメット」は深いドラマだとわかってきました。
第9話のあらすじ
過去に三瓶(若葉竜也)と綾野(岡山天音)と麻衣(生田絵梨花)と4人で食事をしたことを思い出したミヤビ(杉咲花)は、麻衣が三瓶との婚約について何か知っているのではないかと考える。
自宅で餃子パーティーをしながら麻衣に尋ねると、その記憶は自分たちが南アフリカのケープタウンで三瓶と初めて会ったときのものだと分かる。
当時、ミヤビと三瓶が2人でよく行動していたことは事実だが、それは綾野からのアプローチをかわすための嘘が始まりだったという。
婚約については麻衣も詳しくは知らず、真実を知るのは三瓶ただ1人ということに。
ミヤビはついに、三瓶本人に向き合おうと決意する。
そんな中、偶然、西島(酒向芳)と出くわしたミヤビは、西島の隣を歩く鵜原建設の押尾晴人(黒田大輔)を見て足がすくむ。理由は分からないが、とてつもない恐怖を感じたのだ。戻ってきたミヤビの様子に異変を感じ、話を聞いた三瓶は…。
一方、麻衣から「大迫教授はミヤビちゃんに言ってないことがある」と聞いたミヤビは大迫(井浦新)の元を訪ねる。一度は何も答えなかった大迫だったが、あることをきっかけにミヤビを改めて呼び出し、「全部話すよ」と自分の思いを語り始める。
三瓶、ミヤビ、綾野、麻衣は南アフリカ共和国ケープタウンの学会で出会った
第9話の視聴レビュー
綾野と麻衣の再出発
綾野楓(かえで)と西島麻衣はついに入籍して結婚しました。
何も問題は解決していない状況での結婚でしたが、一番大きな問題であった綾野病院の8億の借金も、何とか解決に漕ぎつけたのです。
(それにしてもあっという間の急展開╰(*´︶`*)╯♡)
それには看護師長の津幡の院長への働きかけが功を奏したようです。
「綾野病院が潰れずに済み、丘陵セントラル病院の病床不足も綾野病院の80床を得ることで解決できる」というのが津幡の言い分でした。
最初「借金80億」に怯んでいた院長の藤堂も、ついに折れ、綾野病院を丘陵セントラル病院に合併することに。
Win Winの関係になるのですね。
ちなみに綾野は丘陵セントラル病院に脳外科医として勤務し、カテーテル専門の治療を担当することに。
麻衣は綾野病院で経理を担当して、赤字を出さない経営を目指します。
綾野の父・勲はそのまま地域医療を継続できるようになりました。
この件に関しては、第9話で一番のハッピーなエピソードですね。
先ずはめでたしめでたし
(^o^)/
大迫教授は記憶障害の本当の理由をミヤビに話す
ミヤビは麻衣と自宅で餃子パーティーをしたときに、麻衣から言われた「大迫教授はミヤビちゃんに言っていないことがある」という事を気にかけていました。
それで、大迫教授に会いに行き「私の記憶障害の本当の理由を教えて下さい。」と聞いたのですがその時は、「君に隠していることはなにもないよ。」とまだ嘘をついていました。
しかし関東医大を訪れた押尾と西島会長と遭遇したミヤビが、恐怖から逃げ出した件を、会長は危ぶみ、大迫教授にある提案をしたのです。
事故当時のミヤビ、不正現場を目撃して恐怖から逃げだした帰りでの事故だった。
「何度も言ってるけどね、もしあの子が思い出したら全部終わっちゃうよ。いっそのこと三瓶先生に任せてみたらどう?彼だってあの子を助けたいだろうしね。記憶障害の原因くらい教えてあげてもいいんじゃないかな」と。
(もちろんミヤビが助かって記憶を取り戻すことを願ってはいません。手術でミヤビが死ぬ確立が高く、結果記憶も葬られることを望んでいるのです。なんて奴`ヘ´)
ミヤビに聞かれても理由を教えなかった大迫教授は、西島会長に言われて初めて教えることにしたんですね。
「三瓶先生に任せてみたら」が決定打のようです。
三瓶に任せたら、原因を取り除く手術をするに違いない、それを避けたいがために予めミヤビに説明して手術を回避することを納得させたかったようです。
ミヤビの記憶障害の原因は、ノーマンズランドと言われるメスを入れると命を危険に晒す領域にあり、大迫は助けたくて手術のシュミレーションを何度も繰り返したが無理だと判断したとミヤビに伝えました。
最初からミヤビに言ったとしても、結局ミヤビは三瓶にも報告したと思うのですが、問題ないですよね。
三瓶に伝えたとして、ミヤビ自身が命の危険を犯してまで手術したくないと言えばそれで済むことです。
三瓶だって無理強いはしないはずです。誰よりもミヤビの命を大事に思っている存在ですよ。
ミヤビはこれまで見せられたMRI画像とは違う7テスラMRIで撮影した超精細画像を見ました。
一目で「ノーマンズランド」と言って理解します。
確かに、現段階ではミヤビの手術は簡単ではなさそうですが、超精細画像でノーマンズランドの記憶障害原因部位を映し出すことが可能であれば、手術の可能性は0ではなさそうです。
大迫教授は手術はできないと判断したとしても、優秀な脳外科医の三瓶先生ならどうでしょう。
世界の最も優秀な脳外科医ならどうでしょう。
こんな大事な判断を大迫教授は何故自分ひとりで囲い込み、判断を下すのでしょうか。
自分がこの世で一番能力の高い脳外科医だとでも?
本当にミヤビを助けたいのなら、もっと世界中の優秀な医師たちの意見も聞き、協力を得て何重にもシュミレーションをして判断を下すべきです。
その場に脳外科医でもある本人のミヤビもいるべきではないでしょうか。
そこまでしたら、ミヤビも納得して諦めがつくのかもしれません。
大迫教授、真実を話すことであなたがミヤビに与えたのは「絶望感」と「悲しみ」だけですよ。
真実を隠し続けた言い訳としては満点でしたけど。
ミヤビの記憶障害を治したいという希望は、あなたの言葉でバッサリ切り取られて大丈夫なんでしょうか。
7テスラMRIは、100~200ミクロンの超高精度の画像を撮影できるんだよ。これまでは不可能だった脳内の微細な変化をとらえたり、極小な異常検出も可能で、脳神経外科分野での次世代治療に大きな期待が寄せられているよ。
世界的に見ても高磁場7テスラMRIの臨床応用例は0ではないけれど皆無に等しい状態よ。臨床研究が進められている段階なの。
(実は、この7テスラMRIは管理人のっちの地元大学病院でも導入されてることがわかりました。研究成果の貢献が期待されています。)
大迫教授と三瓶の共通点と分岐点
2人の共通点:重度障害者の姉、兄の存在
・大迫教授
「大迫の家族には重度障害の姉がいて、母子家庭だった。母はいつも世間に遠慮して迷惑がかからないよう頭を下げていた。いつも世間から何かしてもらうという意識が染みついていた。」
(大迫はそれが嫌だったんだ。卑屈にならずに堂々と医療を受けられるシステムづくりに目標が飛躍するんだね。そうすることで自身のプライドを保てたのでは?)
そんな生い立ちからか、大迫は「誰もが公平に安全で良識的な医療を受けられるシステムを作りたい。それが自分の使命」と思ったそうだ。
(「」は関東医大を去る綾野との会話で大迫が話した内容)
・三瓶
「あの、兄がいて重度障害者だったんですけど、僕がに8歳のときに重度障害者施設に入って、、、みんなそれが最善だと思ってたんですよ。兄はずっと泣いてて、世の中も僕も、兄のためって言いながら、ただ遠くに見えないようにしてただけなのかもしれないなと思いますね。」
(ミヤビと駄菓子を食べながらの会話で三瓶が話した内容)
この二人に重度障害者の家族がいたというのは共通しているけれど、その家族との向き合い方はそれぞれ違う気がします。
大迫は姉のことを母と同じように世間に対して「負い目」の存在ととらえていたと思います。
「負い目意識」から逃れる解決策は「公平な医療システム」まで飛躍する必要があったのでしょうか。
弟としてそのままの姉を「障害があるだけで平等な尊厳のある存在」と堂々としていれば済むのですが、こればかりは差別のある世の中ですから、大迫の弱さを責められません。
ただ、異性なので距離間があるのかもしれませんが、姉への弟としての愛情はあまり感じられません。
一方、三瓶は同姓の親しみやすさもあるかもしれませんが、兄の悲しみを自分のことのように思って、胸の痛みを感じています。
社会的弱者、社会から疎外された一人の人間の痛みに、当事者として「共感」する力は、三瓶の方が強いと感じられます。
2人の分岐点:全体の利益のために一人を犠牲にするかどうか
・大迫教授
全体の利益を犠牲にするリスクがあるなら、1人の犠牲はやむを得ない
・三瓶
いくら全体の利益のためであっても、そのために1人を犠牲にしていいことにはならない
そのたった一人の存在もまた、かけがいのない全体の一員なのだ
意識障害でこん睡状態の患者・奈緒のエピソードで浮き彫りになった医師としての神髄
かつて大迫と三瓶が同じ東都医大で脳外科医として勤務していた時、脳幹に強いダメージを受けて意識不明でこん睡状態とされた奈緒という女の子の患者がいました。
あるとき、母親が「あの子は、、、奈緒は意識があるんです!」!と訴えました。
三瓶以外の医師たちは、「そんなわけがない」医学常識を信じて疑わず取り合いませんでした。
しかし、母親は「でも、わたしの言ってるて事が分かってるんです!」となおも訴えます。
三瓶だけが母親の訴えに耳を傾け、たしかめて反応があったことから、奈緒は聞こえていると判断しました。
大迫教授もその時点ではまだ三瓶に協力的で、三瓶が奈緒につないだ脳波測定器の反応を見るように上司の教授に促していた。
それでも「この手のものは信頼性に乏しい」と懐疑的な上司教授に、「ITBを使えば医師の疎通がとれるかもしれません」と提案する三瓶。
ITBとは、バクロフェンを脊髄に入れて筋肉の緊張をほぐす治療法で、筋肉がほぐれれば奈緒の体も動いて口が利けるようになるかもしれないと三瓶は考えたのです。
しかし、当時ITBは国内で認可されてない治療法でした。
そして、奈緒が肺炎になって体を動かせないため端を吐き出せなくて命の危険にさらされます。
三瓶は、土下座をして「ITBをやらせてください」と上司に懇願します。
「許可できるわけないだろう!それと抗菌薬も短期間で中止しなさい。耐菌性が生まれて、結果的に院内感染が起きたら大惨事だよ!そうだな、あと1週間が限度だろうね」と上司教授。
「それまでに肺炎が治らなかったら、、、?」との三瓶の問いには、「しょうがない、それがあの子の寿命だよ。かわいそうだけどね。私は病院ーーひいては医療全体を考える義務があるからね。」と大義を振りかざすのみ。
「奈緒ちゃんはその全体に入らないんですか? 切り捨ててもいいと思ってるんですか?奈緒ちゃんは1人なんですよ!」と食い下がる三瓶。
ここで大迫教授は「三瓶先生!!」とたしなめるために声を荒げたのでした。
「僕はあなたが脳性まひや重度障害を研究してるからここに来たんですよ。それなのに、結局出世のためにあんな教授のいう事に従うんですか?」と一歩も譲らない三瓶です。
(大迫)「力を持てば障害者医療にもっと光を当てることができるんだ」
(三瓶)「未来の障害者のために目の前の障害者を犠牲にするんですか」
(大迫)「では1人のために大勢の患者が犠牲になってもいいというのか!」
この時点ですでに二人の医師としての立場はハッキリ分かれているとわかります。
・大迫教授
目の前に救わなければならないたった1人の患者がいても、力を持たない地位のままでは手を出さない。力を持てばいつかは救える?
・三瓶
たとえ、周りの反対があろうとも、救うべきたった一人の患者のためにやれることは全て手を尽くす。自分の地位のことなどより患者の命が優先。
あなたなら、どちらの医師を選びますか?
患者が自分でも、かけがえのない我が子でも、どのようにしてほしいと望むでしょうか?
奈緒の母親・佳苗はITBに同意した
「奈緒は生きてるだけで人様の迷惑になってしまうんですね、、、生きているだけなのに」と嘆いていた佳苗に三瓶は答えました。
「生きるための治療を受けるのは奈緒ちゃんの権利です」と。
何としても娘の命を救いたい奈緒の母親・佳苗はITBに望みを託しました。
やれることは全てやってあげたいというのが親心です。
三瓶は、自分一人の意志でITBを決行しました。
奈緒は目を開け、指を動かし、「お、、かあ、、さん、、。」と言葉を口にしたのです。
残念ながらその数日後に肺炎でこの世を去りますが、肺炎は痰を吐き出せただけでは改善しないこともありますから、ITBは意味がなかったとも言えません。
ただ、限られた命だとしたら、大切な人に言葉を残せたことは、大きな救いになったと思います。
何とか意思疎通を果たしたいという願いは、母子双方にとって切実だったに違いありません。
(大迫)「わかってるのか?!まだ未承認薬だぞ!!」
(三瓶)「わかってます。」
(大迫)「お前だけじゃない、みんなの責任が問われる!」
(三瓶)「しょうがないですね。」
はい。
この時二人の医師としての道はここをを分岐点に、どんどん違う方向に離れて行ったのでした。
結局大迫教授は未だ善人と言うにはグレーゾーンの人
第9話では、ネット上のあちこちで「大迫教授は結局いい人だった?」という声があがりました。
でも、私は未だに大迫教授善人論には懐疑的です。
決定的な悪人になりきれていない大迫教授ですが、「ミヤビのため」という隠れ蓑をかぶって、保身的態度を捨てきれていないところが気になります。
・西島会長を警察に通報したのはミヤビのため?
西島会長が、三瓶にミヤビの主治医を命令するのは造作もないことです。
何故って、権力を握っているし、三瓶もミヤビを担当したいと思っているはずなので実現はたやすい気がします。
三瓶はミヤビを殺すような選択は絶対しないはずですが、何故か大迫教授は「三瓶が手術をすれば、ミヤビは死ぬ」と決めつけていますよね。
手術をするかどうかも未知のことなのに、ずいぶんと早合点な判断ではないでしょうか。
何が何でも三瓶にミヤビの手術はさせないという理由は他にないか勘ぐってしまいます。
万が一三瓶が手術に成功してしまったら、大迫教授に何か不都合なことが起こるのでしょうか?
あー、自分でも疑り深いヤナやつだと思います(笑)
長く生きた分だけ、人の嫌なところもいっぱい見てきたので、乙女の頃の純粋さはとっくに消え失せていますね。(泣)
ミヤビと三瓶の距離が縮まる
ついにミヤビは三瓶に直接「婚約していたのは本当ですか?」と直接聞きます。
「ホントですよ。信じられませんか?」と答える三瓶に、ミヤビはしっかりと首を振って信じるという意思表示をしました。
その後、病院で仕事をしているミヤビのところに三瓶がが帰ってきてたわいもない話をすることになりました。
何せ婚約の事実を知った後の二人きりの時間ですから、ちょっと気まずくどうでもいい話をするのが無難だったのかもしれません。
ミヤビはラムネを三瓶は長いいつものグミを出してお互いに勧めながら、子供の頃の話をします。
ミヤビは小っちゃい頃に、妹とよく駄菓子屋さんに行ってラムネを買っていたこと。
三瓶は放課後何してたというミヤビの質問に、三つ上の兄とアリを見ていたと答え、その兄は亡くなり、重度障害者であったことなど、ポツリポツリ身の上話をしました。
大迫と一緒に脳外科医をしていた東都医大時代に、肺炎で亡くなった患者・奈緒のことも話題にしました。
(三瓶)「奈緒ちゃんのことも、今は正解かどうかわかんなくて、、、。いろいろ頑張ったんですけど、僕はまだ光をみつけられてません。」と弱音を吐く部分も晒してしまいます。
兄のことから、奈緒ちゃんのことまで話すともう三瓶の涙は止まらないのでした。
意外な姿です。
(ミヤビ)「うーん。私だったら、嬉しかったと思います。なんか、もし、聞こえてたんだとしたら、ちゃんと聞こえてるよって言いたかったんじゃないかなって」
(三瓶)黙ってうなずく
(ミヤビ)「うん、、、たぶん、、、。光は こう 自分の中にあったらいいんじゃないですかね。」「うん。そうしたら たぶん 暗闇も明るく見えると思います。」
(三瓶)涙が目にあふれて、ずっと口を閉じている。
(ミヤビ)「三瓶先生は私のことを灯してくれました。」
三瓶はもう、過去のミヤビが言った言葉と重なって、こらえきれずに「川内先生・・・」とミヤビの方に顔を埋めます。
ミヤビは三瓶をしっかりと抱きしめ、三瓶も抱きしめ返すのでした。
2人とも泣いていました。
抱擁の直後、ミヤビの記憶が消える
このまま、二人の関係は深まるかと思いきや暗転の瞬間が来ます。
お互いが離れた瞬間ミヤビが放った言葉は、「どなたですか?」でした。
三瓶の記憶が一瞬で消えたのです。
衝撃的な結末の行方が気になります。
第9話で浮かんだ疑問
・大迫教授は西島会長を警察に通報し、会長は連行されていきましたが、なんの罪で通報したのでしょうか?
理事の買収でお金を渡したことなら「贈賄罪」ですが、「贈賄罪」は公務員を対象として適用される法律です。
関東医大は公立病院なのでしょうか?
厚労省の松田という人間を話題にしていた会長でしたから、もしかしたら、国立か都立の病院なのかもしれません。
大迫教授は共犯に問われる心配はありませんか?
「贈賄罪」ででなければ、理事の工藤の不倫をほのめかして説得した「脅迫罪」でしょうか?
何かモヤモヤしまし。
(´ヘ`;)
まとめ
ミヤビの記憶障害の原因がはっきりしたこと、西島会長と押尾、大迫、工藤がいる部屋での不正事件をミヤビが目撃して、逃げて事故にあったことなど、第9話のストーリー展開も目まぐるしく、追いかけるのに必死でした。
第10話では、ミヤビに三瓶が灯してくれた希望の光は消えずに闇を照らし続けているでしょうか。
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