ベニシアさんに学ぶ「庭を愛し共に生きる暮らし方とは」

ハーブ研究家で「猫のしっぽカエルの手」(NHK番組)に出演し続けたベニシア・スタンレー・スミスさん(享年72歳)がこの世を去ってから一年近くになります。

京都大原の里山で築100年の古民家を改修し、元々あった美しい環境を生かして庭づくりに励み、自然の恵みに感謝しながら生きたベニシアさん。

彼女の生き方や考え方は、今も多くの人たちの心に刻まれ、ガーデニングにも活かされています。

私もベニシアさんに共感し、自身の庭づくりにも彼女のやり方を取り入れてきた一人です。

本記事では、そんな私の庭との暮らし方について紹介します。

庭を愛し共に生きたベニシアさんから学ぶこと

植物の世話を通して、自然についてたくさんのことを学べます。庭は、神様に一番近い場所。
Looking after plants, you can learn so much about nature. You are closest to God in the garden. ーベニシアさんの言葉よりー

「植物を育てるということは、あせらず自然のサイクルに合わせて、ゆっくりと、そして毎日手をかけること。
ガーデニングを通して、植物から季節といかに調和して、毎日の生活の一瞬、一瞬をどう楽しむかを教えてもらえる」 ー世界文化社「ベニシアの庭づくりノート」の中の一文ー

ベニシアさんの人生は波瀾万丈でした。

在りし日のベニシアさん:(from pinterest. com)

英国貴族の出身で社交界デビューするも、貴族社会の暮らし方に疑問を持ち、インドや香港など世界各地を巡りながら、日本にたどり着きます。

日本人男性との結婚、離婚を経験し3人のシングルマザーとして英会話教室を経営しながら子供を育てました。

2度目の夫、山岳写真家の梶山正さんと結婚して息子を出産するも、今度は次女が産後の抑うつから統合失調症を病んでしまいます。

そのことがきっかけで夫の正さんとも一時うまくいかなくなり、正さんは他に好きな女性ができてフランスで暮らすからと家を出た時期がありました。

また、後に夫の正さんは山で瀕死の大けがを負ってベニシアさんの元に戻りました。

子供の精神病や孫の世話、夫の浮気やケガ、家族の生活を支えるという精神的葛藤のなかで、ベニシアさんは庭に慰めを見出し、生きる活力を得てきたのです。

忍耐と家族への理解と自身の立て直しなど人生の難題が付きつけられましたが、ベニシアさんは庭から力をもらいながら乗り越えてきた方なのだと思います。

だから、彼女を見ると、庭と共に生きることは人生を生きる上でもヒントになることが多いです。

私も、これまでの人生で起こってきた悩みや苦しみを庭で癒してきました。

庭づくりをしていらっしゃる皆さんなら、共感できる部分があるのではないでしょうか。

次女のジュリーさんの「統合失調症」という病気をどう受け止めるかも、ベニシアさんは苦しみながら庭の中で答えを見出して行ったと思うのです。

「この病気を理解できたなら、神秘的な暗い世界の得体の知れないこの病を、理性の明かりに照らすことができるでしょう。人生の旅路は、絶え間ない変化の連続です。私は忍耐力と理解力を学びました。この病気を受け入れることも学びました。お陰で、これまで感じていた心の痛みから解放されました。ユーモアを忘れず、この不条理をありがたく思えるよう努めています。家族のバランスをとることにも努めています。優しく、愛情のこもった世話を必要とする家族に、私は囲まれているのです。かつてインドで、年若き師から『期待しなければ、失望することはない』と言われました。まさにその通りではありませんか」 -生前のベニシアさんの公式HP掲載エッセイ「統合失調症と生きる」より-

精神病ではなくても、子供が不登校や引きこもりになったり、イジメを受けているなどの悩みを抱える親御さん達も少なくありません。

私もそうでした。

たとえ現実的に問題が解決できなくても、自身の心のありようを変えることは可能です。

そんな時は、ベニシアさんのように庭の大地と植物たちの力を借りると、心の苦しみは和らいで前を向けるようになるのではないでしょうか。

庭で微笑むベニシアさん:(from news.livedoor.com)

庭を愛し共に生きる暮らし方

目次

庭を愛する暮らし方とは

庭を美しく保つために手をかける

庭を愛することは庭を美しく保つことではないかと思います。

例えば、雑草が茫茫に生い茂ったり、咲き終わった草花をそのまま放置して、茶色に枯れた花柄がが悪目立ちしていると庭の生命力やエネルギーは感じにくくなります。

(咲き終わったアヤメは花柄が茶色く枯れて悪目立ちしていた)

終わったアヤメを刈り込むと黄色い小花をつけるグランドカバーが露に。まだ咲きます。

また、伸び放題になった庭木が密集して風が渡らないと、植物だけでなく見る側も息苦しく感じて憂鬱な気分になるのではないでしょうか。

庭があることの喜びも感じられなくなりますよね。

ですので、私は、雑草が目についたらその時点で素手で抜いたり、時間を設けて集中的に草取りをしたり、剪定ばさみで庭木の形を整えたりします。

それだけでだいぶ庭はスッキリしてきます。

また、咲き終わって、もう来年まで咲くことのない花は、刈り込んだりして、くたびれた姿をできるだけ晒さないようにしてあげます。

植物だって一番きれいな姿を見せたいと思うし、咲き終わって種をつけたら、後はいつまでも朽ちて枯れた姿を晒したくないのでは。

植物のプライドを守ってあげたいと思ってしまいます。

今年の役目を終えた草花達を取り除いてあげると、次の出番を待って咲こうとしている草花が活気づきます。

暑さで萎れかかっていたら水を遣り、栄養不足で弱っていたら肥料を上げます。

害虫に苦しんでいたら、植物に害のない天然成分の殺虫剤を施したり、手で駆除したりするのです。

そうすることで、庭は生命力を取り戻し美しくなって、観る者のの心を満たし、気分を上げてくれます。

今年は花の一つ一つがふっくらと大きい。バラのピエールド・ロンサール

植物達にやさしい土づくり

光は空から降り注いでくれますが、植物は成長に必要な水と栄養成分は根を通して、土から吸い上げます。

なので、植物が育つベッドとなる土はとても大切です。

いい土は、ミネラルや有機物質を豊富に含み、微生物の働きによって土中病原菌が除去されふかふかしています。

農薬や化学肥料をふんだんに使うと、植物にとっても人間にとっても健康的とは言えません。

柔らかくて衛生的な植物のベッドである土をいい状態に保つためには、雑草やゴミ、枯れた根っこ、石ころなどを取り除いて耕し、ふかふかのいいベッドにしてあげることが大切です。

土づくりをしっかししてあげれば、庭の植物たちは自らの力でグングン育っていきます。

結果的に庭の手入れに手をかけすぎることがなく、楽に庭の健康を保てるのです。

毎日庭に出て植物たちを観察し愛でる

普段、あまり庭の手入れに手間がかからないようにしておくことも大事ですが、植物たちを眺め観察することだけは、毎日欠かさないようにしています。

ほんのチョットした時間でも構いません。

眺めながら、「ああ今年も咲いてくれてありがとう」とか「良くここまで育ってくれたね。綺麗だよ」とか感じたことを心の中でささやくのです。

中にはホントに声に出して言う人もいるみたいですよ。

(*´︶`*)

そうやって草花を愛でながら、庭を美してくれる植物達に感謝するのです。

時には、花やハーブを摘んで花瓶に挿し、室内で楽しむこともあります。

グリーンの鮮やかさや、色彩豊かで芳しい花々で、部屋に清涼感が漂ったり、華やかな明るさが広がったりします。

夏は庭の草花を飾るのにはとてもいい季節ですので、ふんだんに使ってみましょう。

 

庭と共に生きる暮らし方とは

毎朝庭に出て心身共にリフレッシュ

私は毎朝起きるとまず庭に出ます。

新鮮で気持ちのいい空気を吸い、朝日を浴び、草木や花を見て回るうちに体がスッキリ目覚めてくるのです。

とても大切なルーティンになっています。

もう何十年もそうしているので、体が自然と動き、庭に出ないとなんだか落ち着きません。

日常生活の中でモヤモヤ気にかかっていたこととか、気分が重くなるような出来事とか、この時間だけは忘れることができ、気持ちがリセットされて前向きになるのを感じます。

庭の恵みを収穫して室内装飾や食事にとり入れる

(朝に庭で収穫した葉物野菜やハーブ)

庭には木や花だけではなく、ハーブや野菜類も植えています。

初夏の今の季節なら、ラベンダー、オレガノ、ボリジなどのハーブや青ネギ、スナップエンドウ、レタス、サンチュ、サニーレタス,カブ、パセリなどをすぐ摘むことができます。

ミントの葉も成長してきています。

こういった庭の恵みは、朝に庭に出た時に収穫してきて、ちょっとした装飾や、お弁当、朝食などに使います。

使いたいときに使いたい分だけ新鮮なうちに収穫できるのがいいところですね。

サラダにハーブを散らすと、新鮮な香りが口の中にも広がって、爽やかな味を楽しむことができますよ。

(庭のオレガノ、サンチュなどを使ったサラダ。息子の焼いたケーキを薄くスライスしてコーヒーと共に)

去年のこぼれ種から芽を出し、育ち始めた青じそは、暑い夏場には冷やしそうめんの薬味としても大活躍しそうです。

五感にも胃袋にも、庭の恵みを取り込む暮らしはとても豊かでおススメです。

まとめ

「庭は植物の世話を通して自然を学べる神様に一番近い場所。

自然のサイクルに合わせて、焦らずゆっくり植物を育てると、どう季節と調和し、日々の暮らしの一瞬一瞬を楽しむかを教えてもらえる。」

と、ベニシアさんは言っていました。

彼女の経験や考え方から学べることはたくさんあります。

これまでの私の庭仕事にも取り入れてきたこともありました。

例えば咲き終わった水仙の細長い葉の束を結んで春仕舞いする方法もやりましたね。

ハーブを栽培して虫よけやドリンクに活用したりもしました。

まだまだやっていないことはありそうです。

もう少しベニシアさんの著書を読んで参考にしながら、豊かな庭と生きる人生を今後も過ごしていきたいと思います。

        (蜜を吸いながら移動する蝶々)

 

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この記事を書いた人

はじめまして。

ブログ管理人の「のっち」です。

ガーデニング、編み物、フラダンス、韓国ドラマなど、多趣味。

好奇心旺盛で、映画、ドラマの視聴本数は数え切れず、時代を賑わすニュースもチェックを欠かしません。

当ブログでは、時の話題や60代シニアのリアルな日常を発信していきます。

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