昨年、「2023年に訪れるべき世界の52か所」というニューヨーク・タイムズ特集記事で岩手県盛岡市がイギリスのロンドンに次いで第2位になりました。
それからというもの、わずか1年ほどで盛岡を訪れる外国人観光客はそれまでの9倍になったという事実に誰もが驚きを隠しきれません。
東京や京都のように、日本でも有名でない地方都市・盛岡が、何故それほど外国人に注目されたのでしょうか?
テレビ朝日「タモリステーション」でも関心を持ち、ついにタモリさん達が盛岡を訪れ、取材ロケをしていきました。
今回の記事では、タモリステーションで外国人観光客が感動したと答えたスポットを地元の魅力再発見のためにも予想してみたいと思います。
岩手県の盛岡ってどんなところ?
引用:(from odette.or.jp)
岩手県盛岡市は、人口およそ30万人の中核都市で、東京から東北新幹線で2時間10分ほどで来れるアクセスの良さが魅力です。
また、雄大な岩手山の裾野に広がった盛岡の街の中心部を、豊かで清らかな水を湛えた北上川や、鮭の遡上する中津川が流れています。
「北の小京都」と言われるほど、南部藩城下町であった盛岡は風情のある街で、城跡の周辺には櫻山神社、昔ながらの個人店が残る商店街や県庁、裁判所、赤レンガの岩手銀行建物などが、歩いて行ける距離にあります。
もっと歩く気になれば、古くからの寺が立ち並ぶ那須川町のお寺通りや、町屋と呼ばれる昔ながらの古い民家の通り、自由に汲める湧き水、五百羅漢など、古式ゆかしき文化を楽しむこともできます。
大慈清水は、古くから鉈屋町通りにある共同井戸で、今でも生活用水として利用されています。雛壇形式の箱で造られていて、上から順に飲み水、米研ぎ、洗い水、足洗いに分かれています。周辺には水の恵みを受けて製造をしている造り酒屋や豆腐屋、こんにゃく屋、蕎麦屋なども多く存在しています。 (出典:tabijikan.jp)
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(盛岡観光協会撮影画像)
当市が「コンパクトシティ」として魅力ある街づくりを掲げてきたように、まさに歩いて楽しめる街が盛岡市と言えます。
また、宮沢賢治、石川啄木、新渡戸稲造、原敬など、文学者や世界的思想家、日本の首相などの偉人を輩出した街でもあり、ゆかりの記念スポットも大切に保存されています。
盛岡駅からほど近い北上川沿い風景・向こうに見えるのは岩手山
引用:(from pinterest.com)
タモリが取材する有名観光地ではない意外な場所・盛岡
盛岡は、世界的に知られた有名観光地ではないのに、何故世界で訪れるべき場所として2位に浮上したのでしょうか。
海外では「盛岡」の知名度は限りなく低かったはずです。
それには理由がありました。
ニューヨーク・タイムズ紙に盛岡を熱烈アピールしたクレイグ・モド氏
クレイグ・モド氏は現在神奈川県鎌倉市に在住するアメリカ・コネチカット州出身の作家で写真家です。
盛岡をニューヨークタイムズ紙に紹介したグレイグ・モド氏
引用:(from mainichi.jp)
彼はNYT(ニューヨークタイムズ紙)に寄稿を依頼され、歩き旅で訪れた盛岡の推薦記事を書きました。
「盛岡の市街地は非常に歩きやすい。街には西洋と東洋の建築美が融合した大正時代の建物がいっぱいで、近代的なホテルのほかに古い旅館もいくつかあり、流れる川は曲がりくねっています。城跡が公園になっているのも魅力の一つです」と。
彼は、盛岡を「walkable gem」(歩いて回れる宝石のような街)と称し、NYT編集者に盛岡の魅力を熱烈にアピールしたところ、非常に関心を持ち面白がってくれたという事です。
私は2021年に初めて盛岡を訪れました。町並みもよかったし、食べ物もおいしかったし、みんなやさしい。
そして何と言っても、歩いて回れる。
なぜ歩くかというと、町の素顔を感じられるから。
私はできるだけ町中を歩いて、地元の方とお話しをします。
どんな店があるのか、どういう人が住んでいるのか、できるだけ細かく聞き取るんです。
盛岡は10分歩いただけで、歴史的な町並み、おそば屋さん、喫茶店とか、だいたいすべてを味わえる。
歩くだけで面白いところを見つけられるし、スッと入ると楽しいことが待っている。
盛岡は“Walkable Gem”(歩いて回れる宝石スポット)なんです。
出典:なぜ世界が注目? 外国人観光客が“Morioka”に求めるものとは – クローズアップ現代 取材ノート – NHK みんなでプラス
今回の「タモリステーション」では、クレイグ・モド氏も盛岡取材ロケに同行します。
外国人観光客の感動スポットベスト10を予想
地元の人間と違って、外国人観光客の方々が感動するスポットはまた違う視点があると思うのですが、初めて訪れるなら、案内に載っているような場所を訪れるのではないかと予想してみました。
歩くだけではなく、部分的に車での移動も取り入れたのかもしれないと考えて、少し遠いところも入れてみました。
盛岡城跡公園(岩手公園)
南部藩藩主の居城であった盛岡城(別名:不来方城)は、現在建物は無く、その痕跡を留める石垣やお堀、橋などが美しく保存された市民の憩いの場となっています。
歌人石川啄木は、盛岡中学時代に城跡を訪れ、「不来方のお城の草に寝ころびて 空に吸われし十五の心」と詠いました。
岩手銀行赤レンガ館
引用:(from media-cdn.tripadvisor.com)
東京駅?と思わず見紛う岩手銀行赤レンガ館は、東京駅駅舎の同じ建築者が建てました。明治44年に建てられた旧盛岡銀行本店の建物です。
南部鉄瓶工房(鈴木盛久工房 )
盛岡は南部鉄器の街でもあります。大谷翔平選手のドジャーズブル―の南部鉄瓶でも話題になりましたね。伝統工芸の南部鉄器を作る工房は数か所ありますが、盛岡の散策ついでにフラッと気軽に寄るなら「鈴木盛久工房」です。職人さんの作業の様子も見られ、鉄器製品も展示され、購入もできます。
白沢せんべい店
伝統の「南部せんべい」の老舗。せんべい一枚一枚を鉄の二枚型で挟んで焼き上げます。手作り体験もできます。
現在は時代のニーズに合わせ、伝統を守りながらも新しく豊富なせんべい商品を取りそろえ、人気の土産品となっています。
(紺屋町)ござ九・森九商店
江戸時代から明治にかけて建てられた商家で、中津川の清流が背後を流れています。看板は無く、入り口につるされた大きなタワシが目印です。
現在も荒物や竹細工などの商品を扱って営業しており、盛岡市の保存建造物に指定されています。
(紺屋町)ブックナード(書店/古書店)
アメリカの息吹が感じられる本屋としても有名で、なかなか探せない古書から洋書、新刊の本まで店主の個性が感じられる自由な品揃えが人気です。
わんこそば名店「東屋」本店
明治40年創業の蕎麦料理店。「はい、ジャンジャン」「はい、ドンドン」とリズムに乗って、開いた椀に次々とそばを入れていくユニークなふるまい方の「わんこそば」が人気です。
(上田通り)NAGASAWA COFEE店
コーヒー豆の焙煎に強いこだわりを持った店主が、鉄鋳物のドイツ製焙煎機を導入しており、種々多様にローストされた美味しいコーヒーを味わうことができます。店内でコーヒーのお供として味わうスウィーツもオススメです。
Caffe Jazz「開運橋のジョニー」
大人が楽しめるカフェです。ジャズミュージックが流れる店主こだわりの空間の中で、ゆったりと時間を過ごすせるのも魅力です。時々生演奏ライブも行われるので、お酒のグラスを片手に楽しむのもいいですね。
現在は、火曜日、木曜日の週二回、11:00~23:00の営業とのこと。
光原社
民芸品や工芸品を扱っている有名店です。創業者は宮沢賢治の盛岡農業高等学校の1年後輩で、元々の建物は賢治の童話「注文の多い料理店」を出版した出版社でした。表玄関を潜り抜けていくと、そこには宮沢賢治の童話の世界が広がる美しい異空間が広がっています。
通路を突き抜けていくと、北上川のせせらぎの音と木々の緑に包まれて癒されます。
(番外偏)神子田朝市
神子田朝市に足を一歩踏み入れると昭和初期の時代にタイムスリップしたような気分になります。
おばあちゃんやおじいさんが、地元の農産物や特産物を持ち運んで、おしゃべりしながらお客さんに直に商品を売っている。
昭和30年代には普通に目にしていた光景が、延々と広がっているのが神子田朝市です。
盛岡には中央卸売市場という近代的で大規模な物流の拠点が建設され、神子田朝市を消滅させる動きがありましたが、市民たちが必死に守り支えて、今では外国人にも人気の観光スポットとなっています。
まとめ
盛岡を知る者として、外国人観光客が感動がするスポットを予想してみましたが、あまりにも浮かぶ観光スポットが多すぎて絞り込むのに苦労しました。
当たっているものもあれば、当たらないものもあると思います。
また、それでいいのです。
気づかなかった盛岡の魅力を外国人観光客の目を通して再発見するのが、この番組の目的なので、視聴しながら意外な見落としポイントを発見できると思います。
とても楽しみです。
「タモリステーション」~インバウンド最前線・訪日外国人に学ぶ日本の観光底力~は、
6月1日土曜日、夜8:54~10:24、テレビ朝日系24局で放送。
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