第6話では、ミヤビに処方されている薬の正体がわかり、ミヤビの「過去のてんかん発作」の有無の確認に焦点が当たります。
一方、綾野は、星前の説得で、自身も医者として大迫教授に納得できない点を認め、「ミヤビの診療記録を見てほしい」という三瓶の依頼を承諾します。
真実に向かう歯車が大きく回り出したようです。
第6話のあらすじ
過去に脳出血の治療を受けた山本健太郎(鈴之助)が、てんかん発作を起こし運び込まれる。
一度発作が起きると今後も繰り返す可能性が高いことから、山本には抗てんかん薬が処方されることに。
一方で、抗てんかん薬は一度も発作を起こしたことがない患者への予防投与は推奨されていないが、ミヤビ(杉咲花)は予防投与として、大迫(井浦新)からこの薬を処方されているという。
それを聞いた三瓶(若葉竜也)の脳裏には、ミヤビの記憶障害についてある疑惑が浮かぶ。
津幡(吉瀬美智子)に頼まれた星前(千葉雄大)が、大迫の部下の綾野(岡山天音)に事情を聞くなどするが、疑惑は深まるばかり。
もし、三瓶の考えが正しければ、大迫はミヤビにある“重大な嘘”をついていたことになる。
他ならぬ大迫が自分に嘘をつくなどミヤビはにわかには信じられないが、自らの仮説を裏付ける事実を見つけた三瓶は、静かな怒りを燃やしていく。
その頃、抗てんかん薬を服用し始めた山本は、十分な睡眠をとるため夜勤を減らしたいと会社に申し出る。
しかし、後遺症への理解が乏しい上層部から特別扱いはできないと言われ、日中の仕事もしばらく休むよう通告される。
自らも後遺症を抱えながら働くミヤビは、山本のために“ある大胆な行動”に出る。
第6話は、西島グループの会長・西島秀雄(酒井芳)が三瓶に会いに来たところから始まります。
ミヤビの記憶障害が治ることに不都合がある西島は、そのカギを握るのが三瓶だと確信して三瓶に会いに来たのでしょうか?
不適な笑みを浮かべながら三瓶を睨みつけ、「噂は聞いてるよ。ずいぶんと優秀なんだってね。」と無遠慮に三瓶の頬をペタペタと叩きます。
三瓶は「何か用ですか?」と不快感を隠さず一言答えただけでした。
「いや、一度会ってみたくてね。」と会長。
不穏な空気が漂うのかと思いきや、三瓶は急患呼び出しでその場をすぐ立ち去ることになります。
権力を持つ人間はその影響を受ける者たちを委縮させますが、それに動じない三瓶先生はカッコよかったですねえ。
(*´ー`*)
第6話のレビュー
ミヤビが処方されていた薬は、抗てんかん予防薬だった
ミヤビが大迫教授から処方されていた黄色い錠剤は、「抗てんかん薬」であることがわかります。
「安心のためにと言われて飲んでる」とミヤビはいいます。
過去に自分がてんかん発作を起こしたなんて大迫教授からは聞いていません。
一度もてんかんになったことのない患者に抗てんかん予防投与は推奨されていないのに、何故と三瓶は納得がいきません。
三瓶は「ミヤビは過去にてんかんになったことがある」と疑い、そのことを大迫教授は隠していると考えて、関東医大に乗り込もうとするのですが・・・。
てんかんとは、脳内の細胞に発生する異常な神経活動(「てんかん放電」)によっててんかん発作をきたす神経疾患、あるいは症状 (出典:wikipedia)
てんかんのうち、記憶障害と最も関係の深いものに「側頭葉てんかん」があります。・・・発作後の症状として、ふつう「短期の記憶障害」、「見当識(けんとうしき;自分の周りの状況を正しく認識することです)障害」「健忘(けんぼう)」がみられます。 (出典:てんかんと記憶障害の関係(askdoctors.jp)
看護師長の津幡(吉瀬美智子)にたしなめられ、ワンクッション置いて、救急部長の星前(千葉雄大)が、サウナで同期の綾野(岡山天音)と会い、「診療記録を見てほしい」と頼むこに・・・。
綾野は最初は気のない返事をしていましたが、星前に「大迫教授はてんかんになったことがない患者への予防投与は反対の立場なのに、何故ミヤビちゃんに予防投与してる?」「もし、予防投与じゃないとしたら?」と詰め、「大迫教授の診療記録を見てほしい」と畳みかけるのでした。
綾野の気持ちはざわつき始めました。
星前のいう事は医者である綾野にとっても、もっともな事だとだ納得せざるを得なかったのです。
ミヤビは過去にてんかん発作を起こしていたとわかり、大迫の嘘が明白に
「大迫教授が嘘をついてるなんてありえない」とミヤビは言います。
三瓶は、「それをこれから調べるんです。本当に川内先生(ミヤビのこと)が過去にてんかん発作を起こしたことがないかどうかを。」と一歩も譲りません。
その日の日記に、ミヤビは「大迫教授が嘘をついていなければ、坑てんかん薬をやめて、日常生活の制限をなくすことができる」と書いていました。
大迫教授を信じたかったミヤビは、その夜いつもの坑てんかん薬を服用しないでしまったようです。
そして翌日ついにてんかん発作を起こしてしまいました。
そんな中、綾野から「診断記録を見つけたけど、ファイルが消されてる」と電話で三瓶に報告が。
駆け付けると、綾野は、ミヤビの脳波検査結果の消されたファイルをいろいろ試みて復元してくれました。
綾野と三瓶はパソコンで診療記録のファイルを覗き込んで衝撃を受けます。
一回目の診療記録ファイルではベッドに横たわり、てんかん発作に苦しむミヤビの姿があったのです。
(三瓶)「大迫教授,隠してましたね。」
(綾野)無言で険しい顔をして画面に見入る。
そして、2回目のファイルでは、てんかんの治療が施されたのか、ミヤビのてんかん発作は治り、脳波検査も正常。
3回目、ミヤビはまた発作を起こしています。
「おかしいな、2回目では治ったのに・・・」とつぶやく綾野に、「薬の量を変えたんでしょう」とすかさず三瓶が答えます。
(綾野)「治ってんのに、なんで変える必要があんのよ・・・変じゃん」
そして4回目のファイルには眠る前の記憶が何もないミヤビの姿。
そこに西島会長がミヤビの様子を見に病室に入ってくる姿が。
おかしいですよね。
何故西島会長がミヤビの病室を訪れる必要があるのか。
やはり、ミヤビの事故に西島会長は絡んでいるのではという疑念をぬぐえません。
怒りに震える三瓶vs開き直る大迫
綾野と三瓶は大迫教授を突き詰めます。
(綾野)「川内先生のてんかん発作を伏せていたのはどうしてですか?」
(大迫)「あとで説明するよ」
(三瓶)「川内先生の記憶障害を治したくなかったからですよね」「川内先生が昨日てんかん発作を起こしました。薬を飲むのをやめたからです。」
「この論文知ってますよね。てんかん性健忘について書かれた論文です。側頭葉てんかんが記憶障害を引き起こす症例について書かれています。」
「7回も検査したのは、記憶障害だけが残るギリギリの投薬量を計算するためですよね。」
「あなたは意図的にてんかん性健忘をつくった!」
(大迫)「それの…何が問題なの!」
またもや三瓶と大迫は対立します。
これまで、感情を抑えてミヤビの診療記録を冷静に見ていた三瓶も、大迫教授の「何が問題なの!」という開き直りともとれる言葉に、論文を床に叩きつけ、「それでも医者ですかッ!」と怒りを露わにします。
婚約までした愛する女性に、記憶障害という後遺症を残させ、まるで実験のように薬の量を変えて結果観察する大迫の行為を見たら、抑えに抑えてきた感情が爆発寸前になるのも無理がありません。
治療の後遺症のせいで、ミヤビは三瓶との愛の記憶を失い、三瓶とミヤビの結婚という未来も奪われてしまったのです。
「それの・・・何が問題なの」って、人の気持ちへの配慮のかけらもない、冷血漢の言葉にしか思えません。
「彼女がどんな思いで脳外科医であろうとしてるのか・・・アンタが一番よく知ってんだろッ!!」
大迫はもはや三瓶にとって医者ですらない極悪非道の犯罪者に見えたのでしょう。
三瓶の大迫への怒りは、ミヤビとの愛を取り戻せない悲しみの裏返しでもあるのです。
てんかん薬の量を増やせば認知機能が低下するかもしれない
大迫教授も動じません。
「高濃度の坑てんかん薬は認知機能を低下させることがある。」「そのくらい知っているよね」
「まずは彼女のてんかん発作を止めて、そのうえで彼女が医師として働きやすい、最小限度の服用量を決めただけだよ。」
「予防投与だと言ったのは?」という綾野の問いには、「偏見にさらされることなく、彼女が医師として働ける環境を作ってあげたかったからね。」と落ち着いて答える大迫でした。
けいれんや意識喪失などの発作が出るてんかん患者は国内に約100万人いる。120人に1人の割合で、実は珍しい疾患ではない。大半は服薬や手術で発作を抑えられるが、誤解や偏見から退職を強いられたり必要以上に仕事を制限されたりする患者もいる。
完璧ともいえる正論回答の後、「君の妄想で周りを巻き込むのはもうよせ」「諦めろ」と決め台詞をぶつけます。
なんだか煙に巻かれた感をぬぐえません。
だからって、記憶障害にさせていいのか、ミヤビに嘘をついたままで良かったのか。
記憶障害のリスクがある「薬の投与量の減量変更」については、事前にミヤビにきちんと説明し、最終決定は本人に任せるのが正しいのです。
いくら「ミヤビのため」と言ったところで、勝手に記憶を奪うのは医者としてあるまじき行為です。
ハッキリとした逸脱行為であると言えます。
私ですら怒りが湧いてきました。
(。・`Д・´)はぁ?
なんの権限があって、人の人生を大きく捻じ曲げるげような独善的医療行為をするのか。
西島会長がミヤビの病室に来た理由もはっきり答えていませんね。
「川内先生の記憶はもう…戻らない」と言う大迫に「川内先生の記憶は残っています。」「まだ海馬に眠っています」と三瓶も退きません。
「だとしても、その方法は存在しない!」と大迫。
本当でしょうか?
もう少しこの先の展開を見てみないとわかりません。
医学的には大迫教授のいう事にも一理あると認めるものの、ミヤビの記憶の回復を絶対にあきらめたくない三瓶です。
三瓶からあらましを聞いてミヤビは坑てんかん薬の服用を増やすことを決意します。
三瓶の仮説が正しければ、そうすることで記憶障害が改善するかもしれないからです。
ミヤビは三瓶を信じます。
「認知機能が低下するかもしれませんよ」と三瓶が言っても、「できることをやってみます」とミヤビはきっぱり答えます。
その後、確かに記憶は少しずつですが戻ってきました。
このまま順調にいけばいいのですが・・・。
ミヤビの記憶のかけらに望みを託す三瓶
確かに、ミヤビと三瓶しか知らない二人の記憶の一端をミヤビはそれと知らずに口にすることがありました。
側頭葉てんかん発作の時に口走った「こうすると影が消えます」というミヤビの言葉がまさにそうでした。
(過去の三瓶とミヤビとの会話)
ー1本の灯したロウソクの炎を見ながらー
(三瓶)
「光を当てると影ができます」
「人間は暗いところに光をあてていいことをしたと思っている…新しくできた影には気付かずに」
「アンメット(unmet)・・・直訳すると満たされないという意味です」
「できた影に光を当てても、また新しい影ができて満たされない人が生まれてしまう」
「どうすればくまなく照らしてアンメットをなくせるのか…その答えを探してます」
ーじっと三瓶を見つめていたミヤビを、三瓶は見つめ返すー
ーふと、ロウソクに視線を落として、ミヤビは考え込み、何かしようと動くー
(ミヤビ)
「こうすると影が消えます」
「ねっ!」-にっこりと笑って三瓶を見るー
三瓶は知っているのです。
ミヤビの脳の中には二人の記憶がまだ眠っていて、ミヤビの三瓶に対する感情も消えていないことを。
ベッドに寝転がって、二人の過去の思い出の写真を手に三瓶は一人涙ぐむのでした。
会いたい!
あの頃のように、またミヤビに会いたい!
そんな切ない思いを感じます。
霧吹きでじゃれあう二人。過去にもそういうことがあったのだろうか・・・。
まとめ
第6話では、医者としての良心、またはミヤビへの思いからか、綾野がミヤビの診療記録を見ることに協力しました。
そして突き止められた事実は、
・ミヤビは過去にてんかん発作を起こしていたがその事実は本人に伝えられなかった
・大迫教授はミヤビにてんかん完治の治療はせず、必要最小限度の量の抗てんかん薬を予防と嘘をつき、ミヤビに飲ませ続けた
・大迫教授はその隠蔽した医学的措置をミヤビのためと主張して正当化
・てんかん治療中のミヤビの病室に西島会長が顔を出していた
・大迫の嘘を知ったミヤビは、三瓶を信じて坑てんかん薬の量を増やし記憶障害の改善をめざす
でした。
そして、三瓶の心はいまだ満たされないままです。
ドラマの最後に流れるあいみょんの「会いに行くのに」の歌詞が刺さります。
「赤い小さな箱には 渡しそびれたリング」
「もう4月 もうひとつ 息を吐く」
「これが夢だったら」
「君を待つのは寒すぎる 心ももたないよ」
「初めてのあの日に戻ったなら 明かりのない街も 愛して愛を知って 会いに行くのに」
三瓶の愛の「アンメット」が満たされる日は来るのでしょうか。
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