年を重ねてよかったと思うのは、生まれ持った容姿へのコンプレックスから解放されたことです。
確かに、外見に気を使うことはあります。
しかし、それは社会生活に参加する上でのマナーとしての「身だしなみを整える」ことや、他人の無礼な批判に動じないための「予防的な外見の手入れ」に過ぎません。
10代や20代では、容姿に関する悩みは絶えないでしょう。
30代を超えても、あるいは60代を過ぎても、人によってはコンプレックスに捉われ続けることもあります。
私自身も、理想的な外見を目指して真剣に努力した時期がありました。
そうすることで、より自信を持てる自分になれると信じていました。
それでも、「若作り」や「胸は大きいが顔が残念」といった露骨な失礼な批判を受けることもありました。
顔もよければ・・・
美しさを追求することは素晴らしいことです。
それが気分を良くし、自信をもたらすなら、決して無駄ではありません。
しかし、見た目のコンプレックスに悩むよりも、自由に生きる心構えを持つことの方がずっと価値があります。
仕事も趣味も楽しくて、容姿のことで悩む時間がもったいないわ
そうすることで、より幸せになれるでしょう。
自分の容姿にコンプレックスはありますか?
プランインターナショナルと共に活動するプランユースグループが実施した「ユースを対象としたルッキズム(外見至上主義)に関する調査」)(2022年11月~12月)の報告です。
アンケート調査:
8割以上の回答者が容姿・外見に対する悩みを持っている容姿について悩んだことがあると回答した女性は92.8%で、男性の74.2%より18ポイント以上高い結果となりました。理想的な体型について「痩せ型・やや痩せ型」と回答した女性は83.7%、男性は67.7%でした。また、「理想の体型はない」と回答した男性は22.6%で、女性(6.5%)を大きく引き離しています。女性のほうが容姿や外見に悩んでいる傾向があり、女性は痩せた体型になりたいと感じている割合が男性に比べて多い・・・・
出典:https://www.plan-international.jp/
若者を対象とした調査ですが、外見コンプレックスを持っている割合がいかに高いかわかります。
これは、日本でも変わりはありません。
ビューティーケアブランド「ダヴ」による「少女たちの美と自己肯定感に関する世界調査(2017年)」結果では、日本の10代女性の93%が、容姿に「自信がない」と答え、調査対象の世界14か国のうちで、日本が一番容姿に自信を持てない国であることが報告されています。
この結果を見て、何を感じますか?
感受性豊かな10代や20代の女性たちが外見にこれほど悩むのは異常なのでしょうか?
大切な将来への準備期間に、外見の悩みで自信を持てずにいるのは良くないことですよね。
60代や70代になっても、老化する外見を受け入れられずに悩む女性は多いものです。
老けて見られるのは嫌
ボトックスでもしてみようかしら
老いを恐れて「シミ、シワ、たるみ」や「体型の変化」「肥満」「白髪、薄毛」と戦い続けるのです。
美しさを保つことから一生解放されないのかもしれません。
同世代の男性たちはそれほど気にせず、他のことにエネルギーを注いでいるようです。
男性に比べて女性が「美しい容姿を保つことへのプレッシャー」から解放されていないことが明らかです。
子供の世話や家事で忙しくても、化粧ぐらいはしろよ
俺が恥ずかしいだろ
「美しくあれ」「若さを保ちなさい」という言葉が女性たちに対する呪文のように感じられます。
もっと気楽に、自由に生きることはできないものでしょうか。
ルッキズムという社会問題
・ルッキズムとは
ルッキズムとは、外見重視主義。
主に人間が、視覚により外見でその価値をつけることである。
「look+ism」であり、外見至上主義、美貌差別、外見差別、外見を重視する価値観などとも呼ばれる。
「容姿の良い人物を高く評価する」「容姿が魅力的でないと判断した人物を雑に扱う」など、外見に基づく蔑視を意味する場合もある。
外見重視主義者をルッキストと呼ぶ。
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
現在、多くの人々がルッキズムに苦しみ、それが社会問題になっています。
メディアやSNSを通じて「理想の容姿」が植え付けられ、「自分の容姿が理想に達していない」と感じることで、心理的な圧迫を受ける状況が深刻化しています。
日本の学校では「スクールカースト」が問題となり、生徒間で階級グループが形成され、序列が決まることがあります。この際、「見た目」も序列を決定する要因の一つとなっています。
見た目で上位に位置する子供たちが、下位の子供たちを見下し、言葉で傷つけることは、考えるだけでも恐ろしいことです。
このような状況はいじめに繋がり、子供たちの自殺にも繋がっています。
さらに、「モデルのような痩せ型」が理想視され、成長期にダイエットを繰り返すことで摂食障害を発症したり、月経が停止することもあります。
美容整形が一般的になり、イジメや差別を避けるために子供に手術を受けさせる親も出てきています。
イジメられないように今のうちに整形手術を受けさせようかな
マスク生活が続く中、このタイミングで美容整形を受ける人が増加しているとたびたび話題になっている。しかも、その低年齢化が進んでいるという。早ければ小学校低学年のうちに手術を受ける子もいる。
「当クリニックでは、未成年の来院は5〜6年くらい前から少しずつ増え始めてきました。コロナ禍の2020年以降は特に増え、小・中学生が毎月平均10人は来院します。ほとんどが女子ですね」と語るのは、東京形成美容外科の弓削田浩主院長だ。
コロナ禍で小・中学生の来院が増加した理由は、臨時休校やマスク着用で手術後のダウンタイム(腫れや内出血が回復するまでの期間)が隠せることに加え、在宅時間が長くなり親子のコミュニケーションの機会が増えたことにあるという。親子の会話が増えて子どもが容姿の悩みを打ち明けるようになり、「それなら整形しちゃえば」と母親が連れてくるケースもあるのだとか。
出典:toyokeizai.net『6歳で二重手術も「低年齢化」する美容整形の実情ーSNSで抵抗感が減少?いじめ回避の場合も』
このルッキズムが、非常に生きづらい状況を作り出しています。
残念ながら、外見を重視する価値観はまだなくなりそうにありません。
容姿コンプレックスを乗り越えるためのアプローチ
じゃあ、どうすれば幸せに生きられるのか。
もっと、容貌重視の価値観だけでなく、多様な価値観をもって「人間を見る目」を豊かにしようよという事です。
「美しいルックス」で人々を幸せにしてくれるアイドルやアーティスト達はいいのです。
「キレイであること」を否定する必要もありませんし、素直に「ああ、イケメンだなあ」と嬉しくなるのだって自然なこと。
男性にしたって、「可愛いなあ」とか「美人だなあ」って感じることはいいのです。
問題は「自分自身が自分の姿かたちに対して、どう向き合っていくか」という事。
「他人軸ではなく、自分軸で自分の容姿を認め、肯定しよう」と言いたいのです。
人よりも綺麗になって、優越感に浸ったり、人を容姿で見下したりするのは最低でダサい。
自分が幸せになるために、今ある自分を大事にし、ヘアスタイルやメイク、服装を工夫するのもいいし、運動してひきしまった健康的な体づくりをするのもいい。
また、何もしなくたって、今のままで、読書とか、ゲームとか、スポーツとか、なんでもいいから楽しいことに夢中になって、幸せを感じることが大事。
もうとにかく、「見た目のことだけ考えてどんより暗い毎日を過ごすのは、本当に無駄で不毛なこと」と目を覚ましてほしいのです。
容姿コンプレックスを乗り越えるために
・小さなことでもいいから、自信の持てることを作りましょう
・人と比べることをやめてみましょう
・自分のことだけで悩んでいないで、人の役に立ち喜んでもらえる行動をしましょう
・いい音楽を聴いたり、美しい自然に触れたり、本を読んだりして感動する経験をしましょう
・閉鎖的な環境から抜け出し、自分の容姿への悩みが小さく感じられるような開放的な環境に身を置いてみましょう
・自尊心を保つために、できる範囲で身だしなみを整えましょう
まだまだ、コンプレックスを乗り越える方法はたくさんあると思います。
大事なことは、「容姿コンプレックス」をなくそうと躍起になるのではなく、認めた上で、より幸せに生きるために行動しようということです。
今の君のままで、価値のある存在なんだ
「見た目」の印象は自分で作れる
生まれ持った容姿に大きく捉われずとも、「表情」「しぐさ」「ことば」「態度」で自分の印象は視覚的にも変えることができます。
やれることはたくさんあるので、悲観的にならずどんどん試していくと「容姿コンプレックス」もいつしか消えていくのではないでしょうか。
まとめ
もし、自分の子供に「整形手術をしたい」と相談されたらという調査で8割の親は反対と答えたそうです。
でも、子供が容姿のことでイジメられて自殺一歩手前まで追い詰められたら、心が揺らぐこともありそうです。
しかし、他人からの間違った価値観で傷つけられ、整形手術という選択まで迫られるのは、納得がいきません。
完全にイジメたほうが悪いのです。
「人の外見に対して言及しないこと」は人間としての最低のマナーだと心得るべきですね。
容姿コンプレックスは乗り越えられます。
できる行動をいろいろやってみて、軽やかに乗り越えていきましょう。
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